「 憂 い 」
時々被写体の表情がとても気になる時がある。瞼の無い生き物でも眼はその時の精神状態を見事に表していると私は思っている。勿論、私自身の精神状態も影響していると思うが彼等の眼からは憂い・恐れ・活力がこちらに伝わってくる。
このイバラダツ、体の配色に見とれて色々な角度から全体の姿を撮ったりしていた。撮影を始めて一時間、フイルムの残り枚数があと僅かになった時イバラダツのうつろいのある表情が気になりだした。時折見せる“伏し目がちな”表情。女性がはにかんだ時に見せる憂いのある姿を見た思いがした。この姿を残す為に最後の一枚に賭けた想い出深い写真だ。彼女は今も静かな海底で妖艶な姿を魅せているのだろうか。
撮影地:大瀬崎 ペンタックスLX DIVハウジング 100mmマクロ 1/30 f11 1/2
PKR YS50×2
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