「 透 き と お っ た 天 使 」
が長年取り組んでいる撮影の中に「表層物」がある。表層物といってもジンベイザメのような大型のものではなく数ミリから数センチの幼生達の撮影だ。この浮遊期の幼生・幼魚の撮影は水面直下から水深数メートルの範囲が主なフィールドで、季節・場所・昼夜で色々なものが楽しめる。もちろん何も見る事が出来なくて水面下をただ泳ぎに行っただけの「はずれ日」も多いが当れば「年末ジャンボの大当たり」的な興奮が待っている。底が見えない夜の海でこんな事をしている私は他人から見たら“ちょっと変人”なのかもしれない。
 夜の水面下を散々泳ぎ回って疲れ果てた時に暗闇の中からライトの光に浮かび上がったヒラメの幼魚の姿は今でも忘れられない。ヒラメは産まれた時には普通の魚のように体の両側に眼が付いているのだが成長と共に眼が片側に移動してしまう。そしてこの浮遊期ウォッチングを通して多くの幼魚を見る事が出来た。その結果どのステージでも眼を水平に保ちながら泳ぐ姿が判った。つまり眼が体の両側にある頃は普通の魚のように。眼が移動を始めると体を斜めに傾けて泳ぐ、着底直前には眼が片側に移動し水平遊泳になってしまう。こんな不思議な生態を見る事が出来る水面下、まだまだ夜の水面下から足を洗えそうにない。
撮影地:大瀬崎  ペンタックスLX DIVハウジング 100mmマクロ 1/60 f16
           RVP YS50+YS20




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阿部秀樹写真事務所/HIDEKI ABE PHOTO OFFICE
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