「静かな音」
誰にでも心に残る音や好きな音があると思う。僕は空港の雑踏の中に響き渡るチャイムと案内放送がとても好きだ。ざわついた空港で荷物に腰をおろし辺りを見回すと、わき目も振らずに早足で立ち去る出張族、家族旅行であろうかはしゃぎ回る子供達、そして独特の口調の出発案内。これから旅立つ期待感、撮影を終えて後ろ髪を引かれながら帰る寂しさ、一つの音によって感情が増幅され、雑音の中に響く一つの音が臨場感を与えてくれるような気がする。
対極にあるのが雨音、雨の日は一種独特の静けさがあり全ての雑音を消してしまう魔力がある。これは静寂の中の音というべきか。数年前の雨の週末、沖に向かって浅瀬を歩いていた時歓声が浜全体に響き渡った。振り返るとダイバー達が興奮した口調でエキジットするところだった。良いものが見られたのだろうか、彼等が去った後には、また雨音だけが浜を支配していた。
撮影地:西伊豆大瀬崎
ペンタックスLX 100mmマクロ 1/125 f5.6コダックE100VS
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