「ふしぎな宇宙船」
ナイトダイビングの光に誘われるようにして暗闇の中から僕の前に現れた奇妙な奴、クラゲにしがみつき無賃乗車で旅を続けるのはオオバウチワエビの幼生だ。大人になると底性でイセエビ以上に美味で20cm程の大きさになるのだが、幼生期はクラゲと共に生活しているようである。クラゲをつかむ為の脚の第一間接近くからは羽根のような遊泳用の脚が枝分かれしていて、クラゲの動きも自由自在にコントロール。そのお陰で撮影は大変しにくくこちらが良いポジションに先回りすると反対側に急旋回、クラゲを僕に向けてうまく撮影させてくれなかった。激闘1時間!さすがに逃げ回る事に疲れたのかそれともこの状況がさして危険ではないと察したのか動きが鈍ってきた。撮影を始めてから2時間、フイルムも終り僕の目カメラに優雅な姿を残し漆黒の闇の中に消えて行った。それはまるで宇宙の果てを目指して旅立つ宇宙船のように見えた。
撮影データ ペンタックスLX DIVハウジング 50mmマクロ シャッター
1/15 絞りf16
YS60×2
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